7月15日(土)

 仕事が終わり、そのままグレートホステスへ。

 今日は土曜日で、時間も昼。若木さんがいるのがせめてもの救い。
 その若木さんが入り口でワシを迎えてくれた。若木さんと会うのは1ヵ月以上ぶりだ。
 ゆえに若木さん

 「禁煙席でよろしいですか…?」

 おいおい、聞かれちゃったよ〜。
 そんな忘れるほど久しぶりかい、1ヵ月って。
 ほんとホームのファミレスじゃなくなりつつある…。
 禁煙席ゾーンに通してもらい、キッチンで入り口付近のソファ席に座らせてもらった。

 フライドポテトとドリンクバーを注文。
 ドリンクバーは、最近ハマっているオレンジジュースを飲みまくった。

 知っている店員さんは若木さんだけ。あとは最近になってよく見かけるという人とか。
 若木さんだけが癒しだ。

 店には次々と従業員が出勤してくる。
 背の高いウエイトレスとか、厨房の人とか。
 そんな感じで、沙夜ちゃんも出勤してこないだろうか…。

 かなわぬ願いだと分かっていつつも、1時間半以上座って待っていてしまった。

 また一人、従業員らしき女の子が出勤してきた。
 ギャルっぽい格好、明るく染めた髪の毛。沙夜ちゃんだったりして。
 ワシの席の近くの入り口から控え室に入っていこうとするその子の顔を見た。


 えっ…?


 沙夜ちゃん…??


 「お疲れさまでーす」と元気にあいさつし、中に入っていった。

 声も沙夜ちゃんだったような…。

 まさか復帰!?
 もしかして、やめちゃったかもしれないと思いつつもあきらめずに通っていたのがやっと報われたか?
 絶望からの大逆転か?
 感動の再会か?

 顔も声も沙夜ちゃんだったよな?  でもちょっと分からない。

 そろそろ店を出ようとしたが、もうしばらくいて様子を見ることに。
 本当に沙夜ちゃんだったら、3時間延長だ。
 早く出てきてくれ!

 やがて、制服に着替えて厨房に出てきた。
 髪の結び方、沙夜ちゃん。声も沙夜ちゃん。
 斜め後から見た顔が、少しふっくらしたかな。まさか結婚してたりして。

 そして表に出てきた。
 久しぶりだ、再会だ。

 さて、お顔を拝見だ…。


 …違う人だった。


 ロシア人みたいな人だった…。


 えぇーっ!?

 なんでアイツなの!?

 なんか声がものすごく沙夜ちゃんにそっくりだよ。ってか、同じ声してやがる。
 髪の結び方も同じだし、そっくりすぎる!!

 いや、さっき私服で入っていった人はもっと髪の色が明るい茶色だった。このロシア人みたいな人は黒だぞ?
 そうだ、コイツは最初から出勤していて、さっき入っていった沙夜ちゃんはまだ表に出てきてないだけだ。
 よし、沙夜ちゃん出てくるまで待ってよう。

 お食事中おトイレさんが出勤してきた。
 しばらくして、お食事中おトイレさんも仕事を始めた。
 つまり、さっきのが沙夜ちゃんでまだ控え室にいるという事実もなくなった。

 沙夜ちゃんじゃなかった…。

 なんだよ…。

 実はあれを見たとき、もう90%沙夜ちゃん復帰を確信していた。
 やったと思った。
 早とちりだった。ロシア人みたいな人と見間違えてしまうとは…。
 長居するんじゃなかった…。

 沙夜ちゃん復帰という夢を見せられ、一瞬でそれを砕かれたところで、店を出ることにした。

 もう終わったんだよ。
 沙夜ちゃんにまた来てほしいという強すぎる願望が、ああいう錯覚を起したのだ。
 いや、ロシア人みたいな人がホントに似ているっていうのも原因だがね。

 沙夜ちゃん復帰が現実のものとなるまで通い続けるか、それともこんな絶望に叩き落されたところで通うのをやめるか。

 ついに気力の限界が来た。

次のページへ

INDEXへ