7月31日(日)
暑い。軍パンに黒のノースリーブで歩いていると、夏を感じる。
夏を感じながらグレートホステスへ。
駐輪場には沙夜ちゃんの自転車。しかし店内を見ても姿は見当たらない。
時間帯の割にはやや混んでいる。お好きな席にと言われても、どこに座るべきか分からない。
レジにいるのは見知らぬ店員。この人の案内なら普通に席に連れて行ってもらえるだろう。任せた。
うつむきながら入店する。「いらっしゃいませ」の聞き覚えのない声が。その見知らぬ店員の声だ。見知らぬだけに聞き覚えもない(見知らぬとは言っているが、名前を知らないからこう呼んでいるだけであって、実際は何回か見ている)。ワシのことを知ってまだ間もないわけだから、当然禁煙か喫煙かをたずねて来る。禁煙と答える。
見知らぬ店員「お好きな席へどうぞ」
はい、ワシのこと覚えてくれてるのね。ありがとさん。いつものように全景が見渡せる席に座らせてもらうよ。
店員に覚えられても、席を自由に選ばせてもらえるようになるまでは少し時間がかかるものだ。見知らぬ店員もまだワシを覚えたばかりだから、席を選ばせてくれるようになるのはもう少し先なはず。
おそらく沙夜ちゃんから教えられているのだろう。ワシという存在を。
注文取り等のお世話はナイスレディ亀島さん。ポテトサラダとドリンクバーを頼んだ。
入店からしばらくの時間、沙夜ちゃんは全く姿を見せなかった。しばらくして、控え室から裏方に出てくる沙夜ちゃんの姿が見えた。やっと。
しばらく裏方で作業。そして表に出てきてレジ横で待機。いつものように仕切りの上にポンと沙夜ちゃんのお顔が見える。
レジ横の沙夜ちゃん、お顔はずっとワシのほうに向けたまま。じっと動かない。まだワシのほうを見てる。ずっと見てる。
テレてしまったワシは沙夜ちゃんの目を見ることはできなかったので、本当にワシのことを見てたのかどうかは不明だが、お顔を一定方向にずっと向けたまんまの沙夜ちゃんは珍しい。
いや久しぶりに沙夜ちゃんにドキドキさせられた。あれはワシのことをじっと見ていたのでありますように。
女性が5人で来店。沙夜ちゃんの案内でワシの隣の席へ。
その隣の席は4人がけなので、5人は座れない。なのでワシのすぐ隣にあった一人用のテーブルを4人がけの席につけて対処していた。
そう、こういうことがあるだろうと予測して、ワシは4人がけの席から一つ置いた席に座っているのだ。長時間いたければこれぐらいの配慮はあたりまえ。
正面を向いてボーっと座っているところに、沙夜ちゃんがその女性5人組の注文を取りに来た。
ワシを真後ろにしたポジションに立つ。なおも正面を見続けていたワシ。
そんなワシに何か気配を感じたのか、ワシのことをキッ!と振り返って見た。
視線は明らかにワシからずれていたが、この場合はワシのことを見ているのだ。モロに見ると近距離だからまずいので、あえて少し視線をずらしてワシの様子をうかがったのだ。
背後にいるワシが何かしでかしそうな雰囲気だったのか?なにもしないょ…。
時間がたつにつれて客の数が増えてくる。表にいるのは沙夜ちゃんだけで、沙夜ちゃん一人で動き回っている。
ほかの奴らはなにしてる?ほら、また客が入ってきたぞ。沙夜ちゃん一人じゃ間に合わないぞー!店長何やってんだ、はよ行け!!
ワシから遠く離れた喫煙席でお客の世話をしている沙夜ちゃん。その背後には大きな窓がある。
今日は快晴で、その窓からはまぶしいくらいの光が入ってくる。背後に大きな光があると、手前のものはシルエットになって見えるのだ。
窓の手前にいる沙夜ちゃんはシルエットとなってワシの視界に入っている。今日の髪型はてっぺんで結わく形。
もうこんな感じである。
入店から1時間半がたった。そろそろ出るか。
レジでは沙夜ちゃんがお客の会計をしている。その後ろに並べばワシも沙夜ちゃんにやってもらえるわけだが、ワシはそれを避けた。
沙夜ちゃんにレジをやってもらうことを避けた。
まぁいつものことだよ。別に沙夜ちゃん自体を避けてるわけではない。ごく自然な流れで今日を終えたいといういつも思っていることによるものだ。
客の会計を終えた沙夜ちゃん、レジの近くにある喫煙席の作業場で作業を始める。
レジ付近には亀島さん。このタイミングでレジに向かって歩いた。
亀島さんがレジへ。
「ありがとうございました、またお越しくださいませ」
作業場の沙夜ちゃんがワシに言ってくれた。しかし、そのときはワシには沙夜ちゃんの声が聞こえなかった。
伝票とポイントカード、そしてドリンクバーが無料になるクーポンを出し、会計は300円。なんか恥ずかしいな…。
出口に向かって歩くワシに沙夜ちゃんがまた「ありがとうございました」と控えめな声で言う。それは聞こえた。
2回目だから控えめな声で言ったわけだが、そのときワシはそれが1回目だと勘違いしてたので、「何であんな元気ない声で言うんだろう」と悲しくなった。
しかししばらくしてから、その前に元気にやや大きめの声であいさつしてくれたことを思い出し、気持ちを立て直せた。
去年の7月は空白。なので沙夜ちゃんと過ごした7月はこれが初めて。
沙夜ちゃんを好きになってから二度目の夏は、平凡な道のりを淡々と走っているだけ。暑さに押しつぶされそうである。